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の1本のポストが、すべての始まりだった
それは本当に、なんでもないタイミングでした。をぼんやり眺めていたときに、ふと流れてきた「赤い光弾ジリオン、Abemaにて11月2日まで限定配信」という一文。指が止まり、思考が止まり、次の瞬間には夫のほうを見ていました。あ、これ、あのジリオンだよね……? と確認するまでもなく、心の中ではもう主題歌が流れ始めていたのです。
懐かしい、という言葉だけでは足りませんでした。子どもの頃に夢中で観ていたあの世界が、期間限定とはいえ、今この瞬間にも手の届く場所にある。その事実だけで、胸の奥がじんわりと温かくなりました。同時に「期間限定」という四文字が、やけに現実的な圧としてのしかかってきます。いつまでもあるわけじゃない、今気づいてよかった、という安堵と焦りが同時に押し寄せてきました。
「ねえ、ジリオン配信してるって」から始まる騒がしさ
私がそう声をかけると、夫は一瞬きょとんとした顔をして、それからすぐに笑いました。知ってる知ってる、という反応を予想していたのですが、返ってきたのは意外な言葉でした。「実はちゃんと観たことないんだよね」。思わず「えっ?」と声が出ました。だってこの人、ジリオンのDVDボックスを持っていて、Blu-ray発売記念のトークショーまで観に行っている人です。ゲームコレクターとしてSEGA Mk-III版のジリオンのソフトを2本も所有している、その人が、未視聴。
情報量が多すぎて、頭が一瞬追いつきませんでした。でも同時に、これは面白いことになるぞ、という予感もしていました。私は懐かしさを抱えて、夫は初見の新鮮さを抱えて、同じ作品を同じ時間に観る。それって、ちょっとした贅沢なのではないでしょうか。
「もう2年も前かー!」という時間の跳躍
そういえば、と夫が口にしたのが、2023年2月に池袋のHall Mixaで開催されたトークショー上映会の話でした。あのときも夫婦で足を運び、スクリーンに映るジリオンを観て、客席の空気に浸って帰ってきたのでした。あれからもう2年。つい最近の出来事のように感じていたのに、時間はちゃんと流れていたのだなあと、少し不思議な気持ちになります。
それにしてものポストに気づいたのが、配信終了後じゃなくてよかった。残り1週間。危なかった。本当に危なかった。そして、そこで前後不覚になるのがオタクというものです。「1日5話見れば完走できるじゃん?」という、あまりにも前向きで雑な計算が即座に成立し、その日のうちに視聴が始まりました。こうして、赤い光弾ジリオン強化週間が、静かに、しかし確実に幕を開けたのでした。
まさかの「未視聴」宣言と、オタクとしての履歴書が強すぎる件
夫の「実はジリオン、ちゃんと観たことないんだよね」という一言は、なかなかの破壊力がありました。なにしろ、その言葉を発した本人は、オタクとしての経歴がやたらと分厚い人なのです。イベントには足を運び、限定ものには目がなく、関連アイテムはきちんと押さえている。そのうえでの未視聴。そんなケース、あるのかと、しばらく言葉を失いました。
改めて冷静に整理してみると、夫のジリオンとの距離感は、作品そのものよりも「周辺」に強く結びついていたのだと思います。お馴染みの光線銃に始まりDVDボックスを所持しているのも、Blu-ray発売記念トークショーを観覧しているのも、決して珍しい話ではありません。好きな作品なら、そのくらいはする人です。ただ、そこに「本編を通して観る」という項目だけが、ぽっかり抜け落ちていたのでした。
持っている、知っている、でも観ていない
さらに驚かされたのは、ゲームコレクターとしての顔です。SEGA Mk-IIIのジリオンのゲームを2本所有しているという事実だけでも十分なのに、それを当然のように語るのがまたすごいところでした。作品世界には触れている。キャラクターも設定も知っている。でも、物語の流れとしては未体験。その状態で長年過ごしてきたというのが、妙におかしくて、少しだけ羨ましくもありました。
なぜなら、これから初めて「赤い光弾ジリオン」を通して味わえるからです。先の展開を知らないまま、毎話を新鮮な気持ちで受け止められる。その横で私は、懐かしさと再確認の視点で観る。同じ画面を見ながら、まったく違う感情を抱いているという状況が、だんだん楽しくなってきました。
履歴書が強すぎる男と、初見の特権
トークショーで聞いた制作秘話や、当時の空気感を覚えているのに、本編は未視聴。そんなちぐはぐさが、逆にこの視聴体験を特別なものにしてくれました。私はネタバレ回避のため細心の注意を払ってなるべくお口チャックで鑑賞。「ここ、好きだったな」と思い出しながら観ていると、夫は「え、ここでこうなるの?」と素直に驚いている。その反応を見るたびに、作品の力をもう一度確かめているような気分になりました。
オタクとしての履歴書は申し分ないのに、最後の一行だけ空白だった夫。その空白が、Abemaの配信終了1週間前に、ようやく埋まろうとしている。夫の未視聴宣言があったからこそ、今回の一気見は、ただの懐古では終わらない時間になったのだと思います。
残り1週間、1日5話。覚悟を決めたジリオン強化週間
配信終了まで残り1週間と気づいた瞬間、私たちの中で迷いはほとんどありませんでした。むしろ問題は、どうやって観きるかではなく、本当に観る気があるのかどうか。その問いに対する答えは、「1日5話見れば完走できるじゃん?」という、勢いだけで成立した計算式に集約されていました。数字にしてしまえば、あとはやるだけ。こうして、我が家にジリオン強化週間が宣言されたのです。
平日の夜に5話というのは、正直なところ、なかなかのボリュームです。食事を済ませ、他の予定をできるだけ早めに片づけ、再生ボタンを押す。気がつけば、オープニングとエンディングに挟まれた30分が、想像以上の速さで過ぎていきました。1話ごとに区切りがあるはずなのに、「もう1話」が自然に積み重なっていく感覚は、久しぶりのものでした。
5話というノルマが生む、妙な連帯感
最初は正直「ちょっとしんどいかな?」と心配もありました。それでも再生を始めると、そんな気分はすぐに薄れていきます。物語のテンポやキャラクター同士のやり取りが心地よく、気づけば5話分を走りきっている。むしろ夫が「続きが気になる!もう一話…」とノルマを上回ることも。逆に展開を知っている私は「今日はここまで!」と調整したりで、視聴後には「今日も達成したね」と、ちょっとした達成感が残りました。まるで、期間限定のミッションを夫婦でこなしているような感覚です。
私は懐かしさを味わいながらも、「最初ってこんなキャラの立ち位置だっけ?」と忘れていたことや詳細の再確認。一方の夫は、初見ならではの反応を隠しません。「え、そう来るの?」とか「このキャラ、意外にカッコイイ」と、素直な感想がぽろぽろ出てくる。そのたびに、ジリオンという作品の構造が、今見てもちゃんと機能していることを実感させられました。
一気見だからこそ浮かび上がる魅力
毎日続けて観ることで、キャラクターの成長や関係性の変化が、よりはっきりと見えてきます。子どもの頃は気づかなかった細かなやり取りや、台詞の重なりが、今の自分には妙に刺さる場面もありました。一気見という視聴スタイルは、懐かしさを消費するためのものではなく、改めて作品と向き合う時間を作ってくれるのだと感じました。
こうして積み重ねた5話、5話、また5話。気づけば残り話数は確実に減っていき、同時に「終わってしまう」という寂しさも、少しずつ顔を出し始めます。それでも、今はただ、この強化週間を最後まで走りきるだけ。期限があるからこそ生まれたこの濃密な時間は、きっと配信が終わったあとも、しばらく心の中で再生され続けるのだと思います。
何度触れても色褪せない名作と、再会の場を用意してくれるありがたさ
こうして全話を観終えたあと、まず感じたのは、赤い光弾ジリオンという作品が、驚くほど古びていないということでした。もちろん作画や演出には時代を感じる部分もあります。それでも、物語の芯にある楽しさや、登場人物たちの関係性は、今見てもきちんとこちらに届いてくる。懐かしさに浸るだけで終わらせない力が、この作品には確かに残っていました。
夫が初見として語る感想を聞きながら、私は何度目かの再会をしていました。あの頃は勢いで受け取っていた展開が、今では少し違う角度から見えてくる。笑える場面で笑い、胸に引っかかる場面ではちゃんと立ち止まれる。年齢を重ねたぶん、受け取り方が増えたのだと思います。そうした変化を、作品がきちんと受け止めてくれるのも、名作と呼ばれる理由のひとつなのでしょう。
今回の一気見で、改めて強く感じたのは、再会の「きっかけ」がどれほど大切かということでした。でたまたま見かけたポストがなければ、Abemaの期間限定配信に気づかなければ、ジリオンをこのタイミングで観返すことはなかったはずです。忙しい日常の中で、過去に好きだったものと再び向き合う機会は、意識しないと簡単に通り過ぎてしまいます。
だからこそ、懐かしの名作アニメを取り上げ、期間を区切ってでも届けてくれる取り組みには、素直に感謝したい気持ちになります。それは単なるアーカイブではなく、「今、もう一度触れてみませんか」と声をかけてもらっているような感覚でした。作品を知っている人にも、知らない人にも、同じスタートラインを用意してくれる。その場があること自体が、とてもありがたいのです。
配信が終わった今、画面を閉じても、ジリオンの世界が急に遠くへ行ってしまった感じはありませんでした。むしろ、ちゃんと心の中に居場所を作って、静かに落ち着いたような感覚があります。期限があったからこそ走りきれた時間、夫婦で同じ作品を同じ速度で追いかけた日々。そのすべてが重なって、赤い光弾ジリオンは、今の私にとっても、色褪せない存在として更新されました。私のウォッチリストを埋め尽くしている懐かしのアニメが、次の出会いをのです。
